フランスでマタニティ 〜出産当日〜

べべ 

人生初めての出産

日本からはわずかな正月休みを使って母が渡仏してくれました。

フランスの産院での予定日は1月8日(40週6日)でした。
正期産である12月8日〜1月8日までは本当にいつ産まれてもおかしくないということで
母が来る12月27日頃にはもう出産して自宅に戻っているというシチュエーションがベストだなあ〜なんて目論んでいたのですが
赤ちゃんの選んだ日は違いました。

12月27日に母が到着し、28日はマルシェに行ったり、大西洋の浜辺に散歩へ。
夜にはなんと東京から持って来てくれた「おでん」を母が作ってくれ、楽しい夕食をいただいたり。

そして!その日の明け方!
陣痛が始まったのです。

午前4時半頃。
お腹にいつもと違う痛みがあるなと目が覚めました。前駆陣痛も頻繁にあったこの頃。

しかし痛みで目が覚めるということは今までに無かったので、すぐ来たかも!と思いました。
間隔を計ってみると、7分〜10分ほど。本当に、規則通りにやってくる痛み。
それから1時間ほどうとうとしつつ様子を見て、夫に陣痛が来たかもと知らせました。

助産師さんにすすめられていた[熱いシャワーに入る]ということをしました。
ついでに入院用の洗面道具などをまとめます。
徐々に痛みが強くなって来ました。それでも朝食のジャムを塗ったバゲットとフルーツジュースを食べました。
間隔が5分になったら病院へ行くようにと言われていたので、8時半過ぎに出発。

陣痛が来るとうずくまってしまうぐらいの痛みで、産婦人科の診察室にたどり着いたのは9時半でした。
本日担当の助産師さんを紹介され、赤ちゃんの心拍と陣痛の波がわかるモニターをつけられ、内診。この時点で子宮口3cmでした。
すぐ分娩室に移動し、点滴も始まり、「硬膜外麻酔を希望するか」と聞かれたのでお願いしました。

この日は日曜日だったので、麻酔科医の先生がいらっしゃらず、これから呼ぶので30分位待っててくださいと言われ、夫と分娩室で待機。
分娩室には付き添い人1人までということだったので、母は待合室で待っていました。

麻酔の先生到着。
背骨に麻酔注射をするなんて怖かったし、陣痛の波が来ている時は息も止まってしまうほど痛いので、本当に不安でした。
何よりフランス語も専門用語は難解過ぎて分からない私。やってきた先生は背が高くて強面の方。愛想は全くよくない。
夫は処置中は席を外すよう言われて出て行ってしまったし、どうしよ〜と不安でしたがそれでもこの陣痛の痛みから解放されるなら!と、頑張りました。
処置中ずっと助産師さんが肩を抱いて「大丈夫だからね」と励ましてくれていたのが心強かったです。
予備麻酔があったので思ったより痛くなく、無事カテーテルが硬膜外に入ったようでした。
麻酔が効くかどうかのチェックでさらに1時間ほど分娩台で待機しました。

しかし…
麻酔が効くよりも陣痛がどんどん強くなっているような気がし、
その旨伝えると麻酔の量を増やしてくれ、モニターに映っている陣痛の波が来ても前よりはそれほど痛くなくなっているような気がしました。
「気がしました」としか言えないのは、本当に麻酔後も陣痛をかなりはっきり感じていたし、正直、麻酔は効いていないんじゃないかというぐらいだったからです。
優しい助産師さんが「痛みを10のスケールで例えるならどのぐらい痛い?」と言われ、「8、9ぐらいでしょうか」と自信のない返事しかできませんでした。

まあ効いているだろうということで、麻酔科医の先生と助産師さんはコーヒーブレイクに行ってしまい、夫と分娩室に残された私。
しかし痛みがどんどん強くなり、これはもういきむ時なのではないか?と感じたので、ナースコールで呼びました。
内診してもらうと9cm。助産師さんも、「もし産みたいなら、じゃあやりましょうか」と作業体制に。この時病院に到着してから3時間でした。

そこからが大変なことでした!!

よく、無痛分娩を経験されたフランス在住ママさんのブログなどで読んでいた
「無痛分娩は素晴らしい!」
「麻酔をしてから陣痛は全く感じず、3回いきんだだけで生まれた」
「麻酔後も何も感じないわけではなく、産む感覚ははっきりあった」

などという経験談は、私には全く当てはまりませんでした。
あれれ?
というぐらいの壮絶な分娩になったように記憶しています。
いきむのが下手で分娩開始から40分かかりました(夫もかわいそうで見ていられなかったと言っていました)。
途中何度も息が続かずもうだめだと思いましたが
「もっともっと!」「いい調子!がんばって!」「プッシュプッシュ!」
という助産師さんの掛け声とリードで無事に、13時10分、娘をこの世に誕生させることができました。

初めて対面した我が子は、目をぱっちり開けて私の胸の上ににやってきました。
夫がへその緒を切りました。やっと会えた私たちの赤ちゃんが目の前にいるんだと最初は信じられず、喜びも感動も、分娩後2時間のカンガルーケアの中でじわーっと感じていきました。

2時間分娩台で過ごしましたが、その間、初めての授乳をしました。
赤ちゃんは不思議なもので、生まれて間もないのにおっぱいを吸うことを知っているのですね!そのことに感動しました。
これから始まるすべてのことが、娘にとっても私にとっても初めてのことばかり。

これを書いている今は、出産当日のことを思い出すととても遠くのことに感じます。
でも、娘がこの世に誕生したこの日の感動はずっと忘れないでしょう。

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