感染性胃腸風邪・ガストロでてんやわんや
ノロとかロタウィルスからくる感染性胃腸風邪をフランスではガストロと呼びます。この季節になるとこんな注意報が出るほどフランス人にとっても大ごとです。
ガストロ。
フランスで暮らし始めこの言葉を初めて聞いた時、発音もそこからくるイメージもおどろおどろしくてホント嫌だなあと思いました。
それから6年…。4歳の長女が今年の4月に初めてかかってしまうまでガストロを実際に経験したことはありませんでした。
今回は長女の人生二度目のガストロ、次女にとっては人生初のガストロで一家がてんやわんやになったお話です。私のようにガストロ初心者だったママンがどのように乗り越えたか、記録しておきます。
【ガストロの経緯】
長女の下痢から始まりました
日曜日の朝寒かったけど家族みんなで犬の散歩に出かけた後お腹が痛いと真っ青な顔をした長女。かわいそうに結構な下痢でした。
もちろん昼食は食べず温かくして横になったり寝たりしたのですが3時間後にも下痢。
その夜あったかいお風呂でもと言った時唇も真っ白な長女がフラフラと床に座り込み「何がしたいか分からない」と言ったのでリビングに連れて行ったら嘔吐してしまいました。
その後は落ち着きリビングにマットレスを敷き私も横に付き添って一夜を明かしました。あまりよく眠れなかった様子でした。
3日目 次女も発症
2日目は長女も朝から食べたいと言うのでりんごのコンポートやパンを少し食べました。その日は午後一度下痢のみですごく疲れていたのでたくさん寝て終わりました。
3日目の火曜日。長女は朝からぐったりしていて午前中はほぼ寝ていましたがお昼前にお腹が空いたとのことでりんご、バナナ、ジャムつきパン、みかんの果実を食べました。みかんはよくないよーと思ったのですが本人の強い希望で体が欲しているならと少しでも消化をよくするため薄皮をむいて与えました。ジャムも同じく本人の強い希望。その横でいつもなら次女が私も食べたいと言ってくるのに今日はいらない。お昼ごはんができて呼んでもぐずって抱っこ。眠いんだと寝かせたらぐずりながら嘔吐。初めてのことで何が起こっているか分からない様子で本当にかわいそうでしたが、こちらも受け止めるのに必死でした。午後は長女も次女も寝ましたが、次女につきっきりだったので長女の水分補給を管理していなかった。
夜が修羅場でした。次女は見ていない間にごくごくストローマグで水を飲んでしまって、嘔吐再発。19時〜0時まで嘔吐を繰り返しました。長女は次女の様子を見てかわいそうで自分まで気持ち悪いと言っていたのですが本当に具合も悪かったみたいで21時嘔吐。その後朝4時、6時、9時と嘔吐。よくなってきていると思っていたのでかわいそうでした。
夫が長女があまりにもぐったりしているので水ではなくて経口補水液を与えなければと、自らレシピをリサーチして作ってくれました!長女次女共に夜中じゅう一口ずつ飲ませました。
4日目 峠は越えた
長女は経口補水液のおかげでずいぶん回復したのが感じられました。ちゃんと話せるようになったし、立ってトイレにも行けました。朝吐いたので朝も昼も食べなかったのですが経口補水液を一日中少しずつ飲み、夕方りんごのコンポートを食べました。顔も血の気が戻り、よかったです。あのまま一日中食事もせずただの水だけを与えていたら本当に危なかったんだと知りました。次女も嘔吐は治りましたがほぼ一日中寝ていました。りんごのコンポートを食べました。
5日目 次女の下痢が始まる
長女は回復してきて今日は少しコンポート以外のものも食べました。次女は食べると激しい下痢をするのがこの日から2日間続き大変でした。久しぶりに新生児並のウンチで背中にまで爆発。お気に入りだったプチバトーのボディがお亡くなりになりました。
7日目 長女がぼうこう炎にかかり救急外来へ
次女の下痢は続くも大分元気を取り戻してきた矢先、今度は長女がぼうこう炎に。救急(SAMU 15)に電話し医者とやりとりしたところガストロのせいでかかったに違いなくすぐ治さないといけないと言われ日曜でも空いている救急外来へ。午前中のうちに夫が長女を連れて行って来てくれました。フランスは何でも不便で救急外来だってきっと手際が悪かったり対応が悪かったりするんだろうと不安で泣きたくなった(泣いた)けど、あまり待たず診察してもらえて抗生物質を処方してもらえて、本当によかった!
両親には感染しませんでした!
私は5日目ぐらいに一回下痢発症しついにきたかと夜食べずに寝たらその後何ともなく、夫はこの5日間頭痛や悪寒、咳に悩まされていたが胃腸は大丈夫でした。ブラボー!
【脱水症状の怖さ】
長女の脱水症状の様子
長女は2日間は日中は気を紛らわすためにソファでアニメを見せていたけどずっと横になって目も虚ろ、何か聞いても答えたくない感じがあって、言葉もよく聞こえない時がある。顔色も悪い。唇の色が無い。寝ている時半目になっている。というのが気が付いた症状。これが脱水症状でなくて何でしょうか?このまま次の日回復の兆しがなかったら病院で点滴だと思っていた矢先。夫が夜中やっぱり心配だと起きだしガストロについて調べて、経口補水液を作って飲ませたのです。
あるブログで嘔吐の後3時間は水分をあげない方がいいと読んだことがあって、その人の胃腸炎の時の対応諸々がとても参考になったのでそういうものか〜と鵜呑みにしてしまった私の責任で、水分補給を積極的に考えていませんでした。2日間、経口補水液ではなくただの水をあげていたのです。
何事もセオリーではなくその場その時の状態次第で判断しないといけないと今さら知りました。夫が2日目の夜中に経口補水液を作ってくれなかったら、病院で点滴というほどに達していただろう。
フランス流自家製経口補水液の作り方
600ml 沸騰させた後冷ました水
360ml 無加糖のオレンジジュースまたはりんごジュース
小さじ1/2 塩 (小さじ1/2が最高。それ以上は厳禁)
塩は入れ過ぎないように必ず慎重に目盛りを守ってくださいとのこと。夫は気持ち少なめにしたそうです。
夫のスペシャルドリンクは長女にも次女にもウケ、二人ともたくさん飲みました。回復できたのはパパのおかげだったね。Boisson special de papaと呼ぶように。
夫が参考にしたサイトもよければ読んでみてください。
【2歳以下の子がガストロになった時】
吐き方を知らない子のサポート
1〜2歳の子供は吐き方を知らないので目が離せない。寝ている時に吐こうとする時は顔を横向けにして出させるといいと思いました。
次女は自分でも何が起こっているか分からず怖がりました。出してはいけないと直感的に判断したみたいでなかなかベーっと出せません。長女の吐くのを見ていたのに(から)洗面器に吐くのを嫌がり、私に抱きついて来ようとするのでその気持ちはわかるのですが洗濯問題が頭をよぎり、バスタオルとかシーツに出させるようにしました。
あとは腹痛で怖がって泣いてしまうのでお腹をさすったりできる限り抱っこして一緒にいてあげる。
看病のコツ
次女は勝手に水をガブガブ飲んでしまったのですが、本来なら心を鬼にして嘔吐直後は水分制限をすると余計に嘔吐しなくて済むので本人も楽だと思います。
嘔吐が落ち着いたら一口ぶん入れたコップをあげてこまめな水分補給(経口補水液)。
あとは本当にぐったりして抱っこを望むので一緒にいてあげることですね。私はこの病気期間に娘のアニメを一緒に観るのが楽しかったです。ただソファに座っているだけです。
【感染原因は?】
冬時間に変更して体内時計が狂った
フランスは10月の最後の土曜日に冬時間に変更。1時間だけでも食事の時間が遅くなったりリズムが激変して今年はなんだかこたえるなと思いました。急に寒くなったのと同時だったのでなおのこと。免疫力が低下しそうな予感がバッチリありました。
なんとなくお腹の調子気をつけないといけないな〜と感じていた矢先でした。
激混みのショッピングモールに行ってしまった
11月1日は諸聖人の祝日でほとんどのお店も閉まっていて天気も悪くて滅入りました。金曜日の翌日はせっかくだからNantesのショッピングモールに行こうと私の提案で行ったものの、すごい人。駐車場が満員なほどの混みようで、空気も淀んだ感じがして、着いた瞬間夫は喉がいがいがするとか言っていましたけど、本当に私も喉にきました。後悔しかないです。本当自分のバカさにあきれます。もう二度とこういう施設には行かないと誓いました。ショッピングはネットでいいじゃないか。
かかる時はかかる
日曜日に発症したのでやっぱり金曜日のショッピングモールが原因だろうなと思いますが、マクドナルドに行ったりもしたし、スーパにも行った。どこでどう感染してしまったのかあれこれ詮索してもしょうがない。かかる時はかかる。これが切ない事実ですね。遅かれ早かれ長女が学校でもらってきたでしょうし。
【ガストロの時の食べ物】
⑴はちみつ
腸内を殺菌する効果があるということでハチミツを塗ったパンを食べさせます。大人の私も念のため朝のパンはいつものジャムではなくハチミツにしました。
⑵りんごのコンポート
下痢の時は何よりも固形物を急にあげてはいけないので、りんごのコンポートは救世主です。りんごは皮をむいても加熱してもビタミンがまだ残っている優れものなのです。健康な時も常に食べているりんご。フランスのことわざでもありますよね。りんごを食べれば医者知らず。我が家にとってはお守り的存在です。病気の時は作っている暇がないのでスーパーの無加糖bioりんごコンポート。
⑶すりつぶしたバナナ
これはフランス人の夫が小さい頃病気の時ママに作ってもらっていたというメニュー。残念ながら娘二人は今回はあまり食べたがらなかった。固さ的にも体に優しそうでいいと思います。
⑷にんじん
柔らかくブイヨンで煮て食べさせると消化にもいいしホッとしました。
⑸お米
フランス人でさえお腹の調子が悪い時は白米だと言っています。おかゆと言うのは娘たちに食べさせたことがないのでやわらかく炊いたごはんつぶです。
⑹うどん・煮麺
日本食があまりないのですがそうめんの束はいくつか常備していて、出汁でスープを作り煮麺にして食べさせます。ショウガや長ネギを入れます。スープと麺だけ食べさせてもエキスが効いて◎。
今回も作ったけど長女はあまり食べたがらなかった。
⑺紅茶
これは大人用ですが、紅茶にも殺菌作用があるそうで温かいし飲むといいです。私は紅茶を毎日ゴクゴク飲んでいるけどこういう時の紅茶は特にホッとします。
【ガストロに備えて必須のアイテムを用意しておこう】
ペットシーツ
Amazon.frでも買えるのが手軽です。
私はSuperUで赤ちゃん用alèseを買いました。10枚で約4ユーロです。ベッドの至る所に敷きつめその上にバスタオルを敷いて寝させます。次女の嘔吐の時はこのシーツで受け止め、すぐ捨てられるのもラクでした。ガストロの時だけではなく普段からでもストックしてあると便利ですよ。
バケツ
深めなので吐くのが少しラクだと思います。熱湯消毒したり下洗いする時にも使えるのでうちは2個用意しています。洗面器2個とバケツ2個が家の中に点在しています。
フランスで買える除菌スプレーはこれ!
ノロウィルスはちょっとやそっとでは除菌できないそうですね。日頃使っているスプレーは99.9%殺菌と記載されているのがほとんど。ノロはその殺菌されない0.1%に属する菌なのです。
しかし、次亜塩素酸ナトリウムという成分がノロを殺菌するそうです。
フランスでよく見かけるスプレー類はjavelが入っていても次亜塩素酸ナトリウム(Hypochlorite de sodium)ではないものが多いのでご注意を!
このLa Croixのスプレーは次亜塩素酸ナトリウム(Hypochlorite de sodium)入りで100%殺菌と示されていています。 頼もしいですね。
試し拭きが必要ですが、うちは木の床や木のテーブルにも問題なく使用できました。
日本ではこんな便利なスプレーが存在するのですね。いいな。でもフランス人もやっと気づいてきたみたいで、このLa Croixのスプレーを見つけた時は本当に嬉しかったですね。
【ガストロ中の掃除・洗濯のコツ】
ズバリ乾燥機です。乾燥機が無かったら10倍大変だっただろう。ガストロでなくても日頃から乾燥機を使っているぐらいなのでこの洗濯量をスムーズにこなせたのは乾燥機があったからです。そして高温で乾燥することで殺菌にもなるのだと思いました。
洗濯機では下洗いをした服やシーツ、タオルなどを洗いました。洗濯機を消毒する意味で水温90度で次亜塩素酸ナトリウム(Hypochlorite de sodium)を入れて空で回しました。ノロウィルスは水温85度以上で1分で殺菌できるそうなので安心でした。
掃除はLa Croixの次亜塩素酸ナトリウム(Hypochlorite de sodium)スプレーでドアノブや電気のスイッチ、水道の蛇口、ゴミ箱、至るところを拭きました。気休めかもしれないけど精神的に大丈夫だと思えたのがよかったです。
こまめに窓を開けて、空気清浄のスプレーをシュッシュしていました。このスプレーは100%ナチュラルのアロマオイルなので安心。布にもスプレーできます。
【おわりに】
今回のガストロは長期で本当に辛かった。次女が初めて吐いたりしたのでそれもショッキングでした。でもおかげでガストロが怖くなくなってきました。
ネットで情報収集をしたけれど日本人のママたちは二次感染をとても恐れていて、掃除・除菌がすごく入念のよう。マスク・手袋は当たり前。食器なども殺菌したり別々に洗ったりとか…さすがですが、私にはできないと思いました。そりゃあ家庭内の感染を防ぎたいですよ私だって。でも、この「私がちゃんと処理しなければ家族全員が感染してしまう!」という生死がかかったようなプレッシャーに耐えられない。ただでさえ子供が2人も具合悪い時、徹底的に掃除するなんて無理です。なのでできる範囲で頑張りました。
それにしてもこの1週間何度夫に対して違う!こうじゃない!と叫んだことだろうか。今振り返るとなんて見苦しく無意味な。私は怖かったんだと思います。でも奮い立たせるような意味で夫に対して鬼嫁な態度を取っていたんだろう。無意味です。次回のガストロ時にはもっと無意味な慌てや恐れを持たず、腹をくくって挑みたいと思います。
そして、これから冬が始まるわけです。初っ端からガストロになってしまったけれど、これからも家族の健康に気をつけて冬を乗り越えたいと思います。
Nagisaさんこんにちは。
- November 25, 2018ガストロ、私は2度経験しているのですが、子供たちがかかったら、と思うとゾッとします。
でも経験談を読ませてもらって対処法を学ばせていただき、少し心強くなった気分です。かかる時はどうしようもないですものね。
幼稚園の記録も一緒に読ませていただきました。長男に重なることが多々あり、母親としての気持ちもいろいろ共感する部分がありました。異国で自分の親兄弟から離れての子育て、大変なこともいっぱいありますけど、こうしてブログ等で他の方も頑張っていらっしゃると知ると励みになります。
これからも時々拝見させていただきますね。では。
Tomomiさんこんにちは!
- November 25, 2018ガストロの経験者なのですね!私はかかったことがないのですが、大人でも辛いのだから子供は本当にかわいそうですよね。
これで抵抗力がついて体が強くなっていくんだと思って行くしかないですね。
参考になれば幸いです!病気が始まると買い物にも行けなくて焦っちゃいますよね。そんな時のために冬の間はペットシーツやオムツ、スプレー、コンポートは余分に常備しておくといつ来ても大丈夫。来たら目の前のことを一つずつクリアして回復を待ちましょう。。。などと書きながら次のガストロが怖くなって来ました苦笑。
幼稚園の記録も読んでくださってありがとうございます。嬉しいです。本当に、自分の国ではないだけでただ暮らしているだけでもかなり脳は働いて神経も使いますよね。幼稚園という社会でママの側も色々教えられ強くなって行くのだろうなあ。
Tomomiさんの気になっているテーマなどがあればぜひ教えてください。
気になっているテーマ、早速リクエストさせてください。子供たちに日本語教育をどうされているか、です。
- November 26, 2018うちは家庭内で三ヵ国語が使われるため、まだ子供が小さいこともありゆっくりでいいや、と私との会話は日本語で、あとは夜絵本を読むくらいです。でもそろそろ読み書きの練習もいいかしらとか、いやいや、まだ焦らなくていいかなとか、考えるところで。。
できましたら、またお時間ある時に教えていただけると嬉しいです。
ありがとうございます!
- November 26, 2018日本語教育は私も気になっていながら、私が日本語で娘たちに話さなければいけないところをフランス語で話してしまっている始末です。Tomomiさんの方がすごくしっかり日本語教育をされていらっしゃいますね。私も会話をもっと日本語を意識しようと思います。
ブルターニュのVannesという街で知り合った日本人のママさんたちが主体になって日仏ファミリー同士で日本語の教室を月に2回開催していることが私の家庭では唯一の日本語教育となっています。その会についても少し詳しく記事で書きたいと思います。しばしお待ちください☆
Tomomiさん、お待たせしました。日本語教育についての記事を書きました!お時間ある時にお読みください。
- December 10, 2018